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ブスイオアカ・デ・ボホティン種


ブスイオアカ・デ・ボホティン

バジルが香る伝説の品種

ブスイオアカ・デ・ボホティンは、ルーマニア北東部イアシ県の小さな村ボホティン(Bohotin)が発祥とされる非常に珍しい葡萄品種です。

その名「ブスイオアカ」はルーマニア語のバジル(busuioc)に由来し、ワインにはバジルの花ような独特な香りが漂います。また、Hachette社の百科事典『Dictionnaire Encyclopedique des Cépages』にも「ルーマニア産のアロマティックな赤ワイン用品種」と記載されており、学術的にも認められた品種です。

伝説によれば、中世の君主シュテファン大公(聖シュテファン)もこのワインを愛飲したとも言われ、その歴史の深さを感じさせます。

栽培と生産

ブスイオアカ・デ・ボホティンは、長らく栽培面積が非常に限られた希少な品種でしたが、近年は栽培面積が徐々に拡大しています。最新の統計によると、2023年時点でルーマニア国内では約908.85ヘクタールが栽培されており、ブドウ品種別の栽培面積では国内第16位に位置しています。

主な産地は、原産地であるヤシ県ボホティン村をはじめ、ヴァスルイ県フシ村、ブザウ県ピエトロアサ村、プラホヴァ県トハニ村などがあり、いずれも産地呼称(PDO)に指定されています。とくに近年では、アヴェレシュティ・ワイナリーがヤシ県内で105ヘクタール以上のブスイオアカ・デ・ボホティンを栽培するなど、大規模化の動きも見られます。

この品種は−18℃まで耐える高い耐寒性を持つ一方で、うどんこ病やべと病には弱く、病害管理が難しいとされています。収量は1ヘクタールあたり6〜8トン程度と控えめです。果実は非常に糖度が高く、250〜270 g/Lに達することもあり、酸度も7 g/Lを超える傾向があります。収穫期は主に9月末から10月初旬にかけて行われます。

ワインのスタイル

ブスイオアカ・デ・ボホティンの醸造では、果皮から色素と香りを引き出すために浸漬(マセラシオン)法が用いられます。その結果、生まれるワインは明るく美しいロゼカラーを呈し、淡いサーモンピンクからストロベリー色までさまざまな色調を見せます。ときには「プロヴァンス風のピンク色」と称されることもあるほど、洗練された外観を持っています。

ワインのスタイルは非常に幅広く、甘口のデザートワインから中甘口・中辛口のロゼ、さらにはスパークリングロゼまで多様に展開されています。ただし、一般的に市場に出回っているのは、バランスの取れた飲みやすい中甘口スタイルが中心です。このスタイルは、モスカートを思わせる芳香とともに、フルーティで親しみやすい甘口ワインとして高い評価を得ています。

造り手によっては、長めの果皮浸漬によって濃い色調とアロマの複雑さを引き出す場合もあれば、果汁のみを使用して淡く繊細なスタイルに仕上げる場合もあります。いずれの方法でも、タンニンが過剰にならないよう配慮されており、品種本来のアロマティックな個性と飲みやすさが大切にされています。

テイスティングノート

グラスに注ぐと鮮やかなストロベリーピンク色を呈し、その香りはバラやバジルを軸に、ハチミツ、ストロベリー、ワイルドストロベリー、レモンバームのニュアンスが感じられます。またロウケイ(ハニーサックル)の甘い香りや完熟した桃の風味が複雑に重なり合い、華やかさと甘美さを演出します。口当たりは糖分と酸味が絶妙に調和しており、凝縮した果実味とともに微かにアーモンドのほろ苦さが香ります。全体に優雅な甘みがあり、アルコール感や酸味とのバランスがとても良いのが特徴です。

相性の良い料理

このワインはデザートや甘い料理との相性が抜群ですが、前菜や肉料理にも合わせやすい多様性があります。特に次のような食べ物とよく合います:

  • ルーマニアの伝統的な甘いパン「コゾナク」(クルミ入りの発酵パン)
  • カッテージチーズ入りのドーナツ「パパナシ」
  • チーズを巻いたロールペイストリー
  • 塩味の効いた羊乳チーズ「テレメア」
  • チーズケーキ
  • カラメルソースのプリン
  • クリーミーで濃厚なチーズ・デザート
  • スパイシーな料理とも相性が良く、甘味がスパイスを引き立てます

ブスイオアカ復興を牽引するアヴェレシュティ・ワイナリー

ブスイオアカ・デ・ボホティンを語る上で欠かせない存在が、アヴェレシュティ・ワイナリー(Averești Winery)です。1874年創業の老舗で、モルドヴァ地方フシ(Huși)地区の丘陵地帯において、代々にわたりワイン造りを継承してきました。同ワイナリーは、在来品種であるブスイオアカ・デ・ボホティンとズギハラ・デ・フシの復興に尽力したことで知られています。

アヴェレシュティの自社畑におけるブスイオアカ・デ・ボホティンの栽培面積は105ヘクタールを超え、この品種に関してはルーマニア国内最大規模を誇ります。

ワイン造りにおいては、伝統と革新を融合させた醸造哲学を掲げており、テロワールの個性を反映した高品質なワインを生み出しています。その成果は国内外で高く評価されており、アヴェレシュティのブスイオアカ・デ・ボホティンは、今日ではルーマニアを代表するワインのひとつとして位置づけられています。

日本人にこそ味わってほしいブスイオアカ・デ・ボホティンの魅力

私自身、ブスイオアカ・デ・ボホティンのワインを味わうたびに、その独特のバジル香と華やかな甘みが心に残り、合わせる食材の幅広さにも驚かされます。ローマ・ルネサンス期のように「膝まずいて味わうに値する」と称されたその味わいは、まさにルーマニアの宝石と言えるでしょう。

私はこのブスイオアカ・デ・ボホティンというワインを、日本の皆さんにもぜひ知っていただきたいです。というのも、この品種はルーマニアの中でもきわめて希少な在来品種であり、その芳醇で個性的な味わいは、ルーマニア文化のユニークさを体現するものだからです。言い換えれば、この葡萄を知ることは、ルーマニアという国をより深く理解する鍵でもあるのです。

特にこのワインが持つ、バジルやバラを思わせる繊細で魅力的な香りと、甘みと酸の絶妙なバランスは秀逸です。中でも、スパイシーな中華料理との相性は素晴らしく、辛みの中に心地よい爽やかさをもたらしてくれます。

ブスイオアカ・デ・ボホティンは、その香りと味わいの独自性において、日本のワイン市場でも他に類を見ない存在です。私はこの一本が、ワインを通じて文化と感動を伝える特別な役割を果たすことができると、確信しています。


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