フェテアスカ・ネアグラ種

ルーマニアのフラグシップ品種

フェテアスカネアグラ Feteasca Neagra

カベルネの骨格、シラーのスパイス感とメルローのまろやかさを持つ、素晴らしい葡萄品種 ♪

フェテアスカ・ネアグラは、カベルネ・ソーヴィニヨンの骨格、シラーのスパイシーさ、メルローの滑らかさを兼ね備えた、ルーマニアを象徴する固有の黒ブドウ品種です。豊かな果実味とスパイシーな複雑さを持ち、プラムやブラックベリー、クローブのアロマが際立ちます。洗練されたタンニンと滑らかな口当たりが特徴で、爽やかなロゼから熟成可能なフルボディの赤ワインまで幅広く生産されています。

起源

フェテアスカ・ネアグラの起源は、ルーマニア北東部のヤシおよびフシ地域にあります。この古代品種は野生ブドウ（Vitis sylvestris）に近い遺伝的特徴を持ち、ルーマニアの地で長い歴史を刻んできました。正確な起源には諸説あるものの、この品種がルーマニアの伝統に深く根差していることは明白です。

歴史

フェテアスカ・ネアグラに関する最古の記述は、18世紀末から19世紀初頭にかけての旅行記に登場します。その後、ルーマニアの言語学者ボグダン・ペトリチェイク・ハシュデウによる「言語調査」（1884～1892年）で正式に記録されました。この品種の歴史は19世紀以降の文献にもたびたび登場し、長い間、ルーマニアのワイン造りの文化を支えています。

栽培状況

2022年時点で、ルーマニア国内のフェテアスカ・ネアグラの栽培面積は3,176.20ヘクタールに及びます。冷涼な地域から温暖な地域まで、幅広い気候条件で適応力を発揮しています。また、ルーマニア国外でもモルドバ（242ヘクタール）、ウクライナ、ハンガリーなどで栽培されています。

ワインの特徴

フェテアスカ・ネアグラのワインは、豊かな果実味とスパイシーな複雑さが特徴で、プラムやブラックベリー、クローブの香りが際立ちます。タンニンは豊かでありながら洗練され、滑らかな口当たりを楽しむことができます。

この品種は高い多様性を誇り、フレッシュで軽やかなロゼワインから、濃厚でフルボディ、そして長期熟成にも適した赤ワインまで、幅広いスタイルで生産されています。

誤解を解く

多くのウェブサイトやブログ、SNS投稿では、フェテアスカ・ネアグラがモルドバ共和国原産であると誤って紹介されています。しかし、ブドウ品種の起源を明確にする最も信頼性の高い証拠は、歴史的な記録にあります。18世紀から19世紀の文献によれば、この品種の起源は現在のルーマニアの国境内にあることが明確に示されています。

さらに、フェテアスカ・ネアグラは国際ブドウ品種カタログ（VIVC）において、品種番号4120として正式にルーマニアの品種として登録されています。一方、モルドバ共和国におけるこの品種の最初の記録は1966年にまで遡ります。

フェテアスカ・ネアグラはルーマニアのワイン文化において重要な位置を占めており、その卓越した特性により、ルーマニアワインの国際的な発展において中心的な役割を担うことが期待されています。